本日は、MCバトルヘッズなら知らない者はいない、R指定の強さについて解明していきたいと思います。
今回はR-指定の強さを、
・ライム
・フロウ
・バイブス
・ビートアプローチ
・ワードセンス
の5つに分けて解説していきます。
正直なところ、舞台上での立ち振る舞い「アティチュード」、使用されているビートの元の歌詞をバトル
のラップ中に入れ込む「サンプリング」、ラップ中のリズムを把握する「リズムキープ」、
単純な語彙の量「ボキャブラリー」、聞き取りやすさを左右する「滑舌」、お客さんを盛り上げる「ステ
ージでの見せ方」、大阪人ならではの「ユーモア」など
ラップのありとあらゆる要素で最高得点を叩き出しているのですが、今回は、
6つの要素に絞って「最強」のR-指定の強さの秘密を解明していきたいと思います。
引用:http://hubliminal.com/music/r-shitei/
ライム
ライムは英語でRhyme。日本語なら「韻」。
基本的には、単語と単語の母音を合わせることでリズム感を強調することを指し、
これをライムやライミングなどと呼びます。
人によっては、ただ母音を合わせたものを「韻」 と呼び、文脈の中で意味が繋がった状態で出来た韻を「ライム」と呼ぶ人もいますが、基本的には同じものとして考えてもいいでしょう。
この韻というものはラップをする上では、最も基礎的なものであり、ラップ自体の聞き心地にも大きく関わってきます。
R指定のライムの凄さが出ている試合がこちらです。
【ICENTER MC BATTLE】CIMA vs R指定 2014年
a,i,u,e,oの音で表すと、
醜いからな i, i ,u ,i ,a, a,a
低いままだ i,u,i,a,a,a
憎いからな i,u,i,a,a,a
このように a,i,u,e,oの音をきちんと揃えた完璧な踏み方をした上で、
相手からのいったことに対するアンサー(返し)が出来ているのと、意味をつなげてラップができている
のが驚くべき点です。
フローは簡単に言えば、歌い回しです。声のキーや速度に変化をつけてライムに合わせます。
フロウはラップにおいてはライムと同様に大事な要素となっています。
基本的にラッパーの中には、当意即妙な韻で場を盛り上げるタイプが多い中、韻にはあまりこだわらず
に、フロウで見せていくタイプのラッパーはかなり珍しいタイプとなっています。
フロウラッパーの中で最も有名なのが「鎮座ドープネス」と言われるラッパーです。
彼は今現役を退いていて、バトルをすることはほとんど無いのですが、彼のフロウは今となっては伝説と呼ばれています。
引用:鎮座DOPENESS 『FIFA 14 ワールドクラス サッカー』に日本人唯一の抜擢 ...
彼のフロウもラッパー界の中では突出したものとなっているのですが、R-指定も負けてません。
R-指定のフロウが際立った試合があります。それがこちら。
特にR-指定の2小節目の
近づくとお前顔でかいな お前に俺は倒せないわ
マハリータマハーリタヤンバラヤンヤンヤン
顔のでかさならあんたがナンバーワン
ご存知かもしれませんが、アニメの「魔法使いサリー」のOP曲からとっています。
魔法使いサリー(第1期) - TOEI ANIMATION
こうしたアニメの曲のメロディーをそのままラップのバトルの中に入れこみ、
かつその場の状況(対戦相手が「サリー」というMC名)にうまく当てはめてラップができるのも
R-指定の豊富な知識がなせる技です。
『魔法使いサリーのOP』
バイブス
バイブスは日本語で言うなら「熱量」といったもので、「勢い」とも捉えることができます。
バイブスは実は初期の頃のR-指定はそれほど重視していませんでした。バイブスよりも韻を重視していて、中身のなさを勢いでごまかすものだとも思っていたそうです。
しかし、UMBというラップの全国大会で2年連続1回戦負けして、ERONEさんにアドバイスをもらった
ことで、自分のバイブスに対する考え方を改めたそうです。
R-指定のバイブスがこもった試合は、TV朝日でやっている「フリースタイルダンジョン」という番組で」
特に見ることができるのですが、YOUTUBEにはアップロードされていません。
YOUTUBEにある動画の中でもっともR-指定のバイブスが現れたものが、こちらの「vsDDS」の試合です。
R-指定が2小節目の
ブラック企業 ライブラレコード 馬車馬働き 雀の涙
寒い懐に薄手のカーディガン
で畳み掛けた後の
だからこの賞金は譲れはしないな
でくるっと回った時はR-指定のバイブスMAXの時です。
この大会はR-指定がこのバイブスでD.D.Sを下し、そのまま優勝しました。
ビートアプローチ
ビートアプローチとは文字通り、ビートに対するアプローチ方法です。
多くの人はR-指定の見事な韻やフロウに注目し、 ビートアプローチはあまり注目されませんが、
R-指定のビートに合わせた、ラップのリズムや拍の取り方、合わせ方は恐るべきものだと思います。
基本的にMCバトルで流れる「ビート」と呼ばれる音楽は、HIPHOPの曲の歌詞を抜いたものではあるの
ですが、試合直前にどのビートをDJが使用するかを知らされるので、数秒聞かされるビートチェックの時
間にその場で乗り方を考えなくてはいけません。
並みのMCでは、ビートのリズムに合わせることができず、ラップ自体がグダグダになってしまうことも
珍しくありません。
それに対し、R-指定はビートに対し、完璧なアプローチを毎回していくので、聞いていて本当に爽快で
す。
R-指定の「ビートアプローチ」のうまさが光った試合がこの試合です。
0:36~1:15までが「vs DOTAMA」との伝説と言われる試合です。
難しいビートに対して、先行でここまで完璧にはめることのできるラッパーはそういないはずです。
お客さんの盛り上がり方も、始まってすぐの時点で最高潮になっています。
ワードセンス
ワードセンスは文字通り、語彙の豊富さからくる言葉のセンスです。R-指定は映画を見るのが趣味で、休日などは今でも一日中映画を見て過ごすことがあるらしいです。
そうした、映画からくる語彙の豊富さで、一般の人が思いつかないような言葉を用いながら、対戦相手に
対してオリジナルな韻を吐き、圧倒しています。
R-指定のオリジナルでおしゃれなワードセンスが光る試合がこちらです。
R-指定の最後のバースの
これは地獄の目次録 アポカリプス now
といったワードや
自身が大学時代法学部だったことを利用した
俺法学部 六法全書
といったラインは少し斜め上をいくボキャブラリーであると思います。